子どもの「わからない」の解像度

子ども「わかりません」

子どもに何かを教えていると、子どもたちからよく聞く言葉です。

私自身も教員として、コーチとして、出会った子どもたちからたくさん聞いてきました。

その度に、「何でわからないんだろう?」「自分の教え方が悪かったかなぁ」と考えこむことも多々ありました。

でも、教えたことに対して「わからない子ども」もいれば「わかる子ども」もいます。

「考える力の差」と言えば簡単なのですが、果たしてそれだけなのでしょうか?

大人の教育活動の多くは、何かを子どもに「わかってもらうこと」にベクトルが向けられています。

それならば、子どもたちの「わからない」の解像度を上げて、より深く子どもを理解することが指導していく上で大切なことなのだと思います。

これまで、「子どもの考える力の差」で片付けてきた子どもの「わからない」を整理しいたいと思います。

目次

序:「わからない」ことが、なぜわかるのか?

人は、「わからない」ことがわかるために2つの力が必要だと言われています。

①メタ認知

 メタ認知とは、「自分が認知(考えている・感じている)していることを客観的に把握する力」のことを指します。つまり自分が認知していることを自分で認知することです。メタ認知能力を向上できれば、自分自身を客観的に見られるようになります。それにより、高い目標の設定やそれを達成する力、問題解決能力などを引き上げることができるのです。

②モチベーション

 「わかる」には、子どものわかろうとする気持ち(モチベーション)が必要です。

 子どもの「解き方がわからない」「正解がわからない」の以前に、そもそも子ども自身から「わかりたい」という感情がなければ、わかることには繋がらないのです。

 

壱:「何を問われているか」わからない

父親は幼い息子の安全を考えて「道の角を曲がらないように」とルールを決めていた。息子がそのルールを破ると、父親は息子にお仕置きをし、「もう二度と角を曲がらないように」と命じた。しかし、それでもルールを守ろうとしないので、ある日またお仕置きをした。息子は泣きながら父親を仰ぎ見て、次のように言った。
「ねぇパパ、角って何のこと?」
(『7つの習慣 成功には法則があった!』キングベアー出版より)

私たち指導者は、自分の知識や経験を前提にして子どもたちへの問いを作ってしまうことが多々あります。

子どもに対して、自分の期待する答えをついつい求めてしまうのです。

過剰に求められる子どもは教師の顔色を必死に読み取り、忖度した答えをあてずっぽうの思いで次々と答え始めます。

これは11年間、学校現場で生きてきた私が強く感じてきたことでもあります。

弍:「なぜそれが問われているのか」わからない

学校現場の授業では「子どもの身近な事象(モノ)と関連付けて学習課題をつくること」が推奨されてきました。

子どもたちは、自分の実生活と関わりの深い問いに対してはモチベーションが湧きやすく、わかった後の世界もイメージしやすいからだと思います。

ですが、子どもたちは自分の生活との文脈(つながり)が見えない問いに対して「わからない」と言います。

目の前の問いに対して「わかって何になるのか」「わかった後の世界が見えない」ことで、その問いが子どもにとってカンケイナイコトにしか見えないのです。

子どもに「それがわかって何になるんですか?」と問い詰められると、指導者は「テストに出るぞ」「将来の役に立つぞ」と言ってごまかしてしまいます。

これは私自身が繰り返し経験してきたことでもあります。

子どもが向き合う3つの問い
①What:何をするのか?
②How:どうやってするのか?
③Why:なぜするのか?
※最も子どもの思考を高め、行動を促すのはWhy(なぜするのか?)である。
(『変わる力、変える力』2022年講演会より)

参:「わかりたいこと」がわからない

指導者が勝手に問いを与えて「考えろ」と言うと、子どもの疑問に思うことはほったらかされることが多いでしょう。

こういった場合は、教師がいくら説明しても子ども自身は「わかろうという気」が起きません。

子どもにわかろうという気が起きなければ、そもそもわかりたいことも頭に浮かばないのは当然です。

人のわかりたいという気持ちを、「モチベーション」と呼びます。

拾:まとめ

今回は子どもの「わからない」について整理してみました。

私は、何でもかんでも「わかりやすく伝える」ことが子どもにとって良いのかというと、そうは思いません。

「わかりやすく何でも教えてくれること」に慣れてしまう恐れがあるからです。

これからの時代は「教えてもらったことをしっかり表現できる力」と「自分で考えて表現できる力」のハイブリッドな力を持った人間が活躍できると言われています。

子どもに何かを教える際にも、子どもたちに「考える余白」は残してあげたいと思うのです。

ですが、繰り返しになりますが、大人の教育活動の多くは、何かを子どもに「わかってもらうこと」にベクトルを向け行われています。

それであるならば、子どもの「わからない」の解像度を上げて理解を深めることは、私たち指導者にとっても大切なことだと思うのです。

子どもたちと同じように、私たち大人も一緒に学んでいける世界をつくっていきたいですね。

【参考文献】

・「わかり方」の探究(佐伯胖)

・『7つの習慣小学校実践記』(渡邉尚久)

・モチベーション3.0(ダニエル・ピンク)

・学び方の学び方(バーバラ・オークレー)

・思考の穴(アン・ウーキョン)

・「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問(細谷功)

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