VUCA時代の育成環境で大切にしたいもの

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①心理的安全性(Psychological safety)

子どもたちにとって、「何かに挑戦して成功した体験」、「失敗から学べた体験」、「工夫す れば何とかなった体験」はとても重要です。そのような体験を積むためには、子どもたち自身が安心して挑戦できる環境「心理的安全性」が必要不可欠です。この言葉を世に広めた Google は、心理的安全性を「不安や恥ずかしさを感じることなく、リスクのある行動を取ることができる場所」と定義しました。

「窮鼠猫を噛む」という言葉があるように、人は追い込まれると脳が正常運転できなくなることが脳科学的にも言われています。「失敗しても大丈夫!」という環境下で、積極的にたくさんのトラブルを体験してもらうことも、子どもたちにとって大きな学びになると思っています。

②メタ認知能力(Metacognitionability)

混沌と変わりゆく時代を生きていく子どもたちにとって、「自分で自分を成長させていく!」というスキルや視点は大切です。そのためには、自己の内面と向き合うことが必要です。自己と向き合う重要性は、紀元前から伝えられてきました。

刺激的で魅力的な情報が溢れる現在。今の子どもたちはコマ切れの外部情報をインプットすることに夢中になっています。その結果、内部情報(自己)と向き合う時間が激減しているように思います。そんな今だからこそ、メタ認知能力(自己を俯瞰的に捉え、自己について学ぶ能力)の育成が必要だと考えています。

 メタ認知能力を育てる手段の  1 つにモデリング(modeling)があります。学習者がお手本となる映像を見て、模倣し、技術を身に付けていく手法です。東京都にある原田左官工業所では、このモデリングを使って若手職人の育成で成果をあげているそうです。優れた職人の仕事を映像で撮って、自分の姿と見比べます。この会社の職人は、普通の職人が10 年かかって身に付ける技術を、わずか 3 年で身に付けていくそうです。

私たちは、子どもたちの「自分で自分を成長させていく!」というプロセスを大切にしていきたいです。

③マインドセット(Mindset)

VUCA の時代は、未知なるものや新しいものに対してストレスを受けやすい時代と言われています。脳科学的にも過剰なストレスは、パフォーマンスを下げることが分かっています。そのため、子どもたちは自分自身で環境に強い脳を作っていかなくてはなりません。

目の前の物事をネガティブに捉える見方・考え方を Fixed mind(固定的マインド)と言います。一方、物事をポジティブに捉える見方・考え方を Growth mind(成長マインド)と言います。

人は、「ものの見方・考え方」というフィルターを通して外部情報を受け取っています。ものの見方・考え方を変えるだけで、ネガティブな情報もポジティブな情報へと書き換えていけるのです。

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