7年目の挑戦 -自律型の人材育成-

今回は、私が担任をするクラスにおいて、今年度チャレンジしている実践をご紹介します。子どもたちの「振り返りアンケート結果」も載せてあります。ぜひ、ご一読いただけると嬉しいです。

目次

教室で削った言葉

中学校教員7年目を迎えました。現在、男子バスケットボール部顧問に加え、1学年のクラスの担任をしています。子どもたちと一緒に「学び」について学んでいます。

-いつも子どもが、教えてくれる-

私は子どもたちに「教える」側の人間です。ですが、それと同時にたくさんのことを子どもたちから教えられています。

 私のクラスでは、一人一人の「自律」を最上位目標に掲げています。私の考える自律の定義は、「自分で考え、自分で判断し、

自分で自己決定し、自分で行動すること」です。

 「自分で考えて行動しよう!」

 この半年間、口酸っぱく子どもたちに伝えてきたメッセージです。

 

 でも、人が行動するにはエネルギーが必要です。そして、子どもたち自ら「行動しよう!」と思えないと、それは子どもたちの自律にはつながりません。

 この半年間、私は子どもたちへの「〇〇しなさい!」と言う指示・命令口調の言葉を、とことん削ってきました。そのようなアプローチが正しいのかは分かりませんが、1つだけ言えることがあります。それは、「私が過去6年間行ってきた子どもにとことん言って、理解させて、指示をしまくる指導よりも、子どもが動くようになった」ということです。

 ワクワクしながらも、悩み考え抜いた末、私がこの半年間でチャレンジした3つの手立てをご紹介します。

チャレンジ①:なりたい自分の可視化

人は、ワクワクしている状況の時に、1番力を発揮できる
-バスケットボール女子日本代表ヘッドコーチ 恩塚亨-

人は、なりたい自分に向かっている時こそ、最も大きなエネルギーを出すことができる。4月初め、一人一人の「なりたい自分」を設定しました。なりたい自分を可視化する上で使った思考ツールは「ディズニー・ストラテジー・モデル」です。。ディズニーランドの創始者である、あのウォルト・ディズニーがアニメーションへの夢に向かって使用した実際の戦略立案ツールです。『夢を語る自分』『現実を見る自分』『批判する自分』の3人のポジションから目標を見るという考え方です。フレームワークは、実践学園中学校男子バスケットボール部顧問の森圭司先生のnoteより参考にさせていただきました。

私にも「なりたい自分」があります。少しでも近づけるよう、子どもたちと日々学び、成長していきたい。そう思っています。

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チャレンジ②:7つの習慣の教材化

私の指導者としての世界を大きく変えた1冊の本があります。「7つの習慣」というビジネス書です。この本の中では、個の人格を磨くための7つの原則が紹介されています。

第1の習慣 主体的である

第2の習慣 終わりを思い描くことから始める

第3の習慣 最優先事項を優先する

第4の習慣 Win-Winを考える

第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される

第6の習慣 シナジーを創り出す

第7の習慣 刃を研ぐ

 「7つの習慣」を子どもたちにどう伝えるか?そんなことを考えていた時、「7つの習慣」を小学校の教室で実践されていた渡邉尚久先生(元船橋市行田西小学校)の存在を知りました。渡邉先生は、「小さなことは、大きなこと」を信条に、通常の授業にとらわれない、子どもたちの将来を考えた授業を実践されていました。

渡邉先生の実践に背中を押され、私がチャレンジしたのは「7つの習慣」の道徳教材化でした。

伝えたいメッセージは、「ものの見方・考え方で、世界は変わる」と言うことです。ネガティブな人間が、翌日からポジティブな人間になることは、残念ながら不可能です。それでも、ものの見方・考え方を少しづつ変えていくことでネガティブな出来事ををポジティブに書き換えていけます。

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チャレンジ③:子どもたちを当事者に変える

私のクラスでは、リーダー生徒が大きな権限をもつ11PJ(1年1組プロジェクト)という会議があります。出席するのはクラス内の選挙で選ばれた6名のリーダーたちです。毎週1回、会議室に集まり、クラスの「GOOD!」「BAD!」「NEXT!」を話し合います。その中で、クラスの中で実現させたい取り組みや必要ではない現行の取り組みなど、様々なことが話し合われます。基本的に、その会議の中で承認されたアイデアは採用されます。話し合われる内容や承認されるアイデアが、一人一人の「自律」に向かっているものであれば、私が口を出すこともありません。目的は、子どもたちを学級運営していく「当事者」に変えるためです。

子どもたちがクラスを運営していく当事者になるためには、「自分の意見が認められている」「自分の行動でクラスを変えていける」と子どもたち自身が実感しなくてはなりません。当事者になるには、その人にクラスを運営していく上での「権限」が必要なのです。過去6年間、私が担任をしてきたクラスの子どもたちは、当事者意識を失った子どもばかりでした。自分の力でクラスや学校を変えていけるとは思えずにいたのではないかと思います。

「自分たちの力で、クラスをよりよく変えていける原体験をしてほしい」

4月、子どもたちに送ったメッセージでした。私自身、まだまだうまくいかないことばかりですが、楽しみながらチャレンジを続けています。

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クラスの子どもたちの声

・みんなそれぞれ個性があり、みんなで課題を見つけたり、みんなで出来事を成功させたときにしっかり笑えるところが素敵と

 感じました。

・4月に比べて自分の意見を持つ人が増えたしリーダーアンケートのときだって立候補者がたくさんいて、なんかすごいなっ

 て思った。

・もう少し、周りのことを見れて行動できるともっと良いクラスになると思います。

・まだ授業と休み時間のメリハリが付けれていない。

・最初と比べてメリハリや自分で考えて行動することができていたから全員が成長したと思った。

・自分は、このクラスは自主勇往なクラスだと思います。なぜなら、メリハリを付けてポジティブ思考を心がけて生活をする

 ことができているということと、何事にも恐れずに自分が決めた目標に向かって突き進んでいけているです。

・先生が指示しなくても自分たちで動けるクラスになった

・みんなが助け合いながら日々過ごしていてとてもいやすいクラスだと思いました。それにもっと課題を出せばもっと良いク

 ラスになると思います

・最初の時より一人一人が責任感を持って行動していたり、課題など色々なことを解決できるように動いて、前の1年1組と

 は変わったなと思いました。

・私語が多いと思う。切り替えが遅い気がする。

・このクラスはみんな仲が良くて、だめなことをしている人がいたらしっかりと注意できるし、切り替えもできてとてもいい

 クラスだと思いました。

・みんなで協力することや自分の意見を言ったりするのは意外と難しいことだけけどそれができていたので良かったです。

・入学してから半年の中で1−1のチームワークを深めることができたと思っています。2学期からはみんなが主体的に行動で

 きるように何ができるか考えていきたいです。

・班長中心により良いクラスを作れてきていてよかった。もっと意見を出し合ってより良いクラスになるように班長、学級委

 員中心にクラスを作っていきたい。

・1-1といえば一人一人が自分の考え・意見をもって課題などを見つけ、それを達成しようと努力することが得意なクラスだ

 と思います。

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