世界一になった大谷選手
2023年3月21日(日本時間22日午前8時25分)、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦が米マイアミのローンデポ・パークで行われました。日本代表「侍ジャパン」は、前回大会優勝の米国を3―2で破り、3大会ぶり3度目の世界一を達成しました。大谷翔平選手は、投打でチームを牽引し、リリーフ登板した9回(最終回)を無失点に抑え今大会の最優秀選手に選ばれました。
もはや日本だけでなく、世界も認めるトッププレイヤーになった大谷選手。世間は華やかなホームランや豪速球が代名詞のピッチングに注目しがちですが、大谷選手の「凄み」はグラウンドで見せるパフォーマンスだけではないのです。
大谷選手が最も輝いた瞬間
2023年のWBCで世界一となった日本代表「侍ジャパン」。当時のチームの監督を務めていた栗山英樹監督が本大会での大谷選手のベストハイライト(1番輝いていた瞬間)について語っています。普通に考えると「優勝を決めた空振り三振」や「優勝した瞬間にマウンドで喜ぶ大谷選手」などをあげるでしょう。しかし、栗山監督の選んだ「最高の瞬間」は、そのどちらでもなかったのです。
日3ー1米 7回の裏、1アウト走者なし、バッター大谷
この試合、大谷選手はDHで打者として出場していましたが、9回(最終回)から投手としてマウンドに上がることが決まっていました。日本が3−1でアメリカをリードしている場面。1アウト走者なしで大谷選手に打席が回ってきました。定石で言えば、9回のマウンドに備えるため、三振して早くベンチに引き上げ、ブルペンでピッチング練習をします。しかし、大谷選手はフルスイングをして一塁へ全力疾走、内安打でヒットになりました。大谷選手は、一塁で両手を広げて喜びを爆発させました。栗山監督はその光景を見てとても驚いたそうです。そして、こう思いました。
「この子(大谷選手)は、いかなる状況でも目の前のことにベストを尽くすんだなぁ」
世界一を掴んだ栗山監督が選んだ大谷選手のベストハイライトは、「一塁への全力疾走」だったのです。
【2025年Start up meeting講演会】より編集
