はじめに
バスケットボール指導4年目、教員としても7年目を迎えました。AND Project代表の伊藤周平と申します。
この度、ホームページを開設しました。主に、バスケットボール指導現場から「主体的な人材育成」を社会に広めていく活動をしています。
これまでインスタグラムで投稿してきたコラムやイベント情報を中心に発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
私は、普段は新潟県の中学生にバスケットボールの指導をしています。
私の指導者としての最上位目的は、「自分で考えて行動できる人」の育成です。
微力ながら、これからの人材育成に貢献できればと思っています。
このようなビジョンをもつようになった背景には、たくさんの方々(言葉)との出会いがありました。
指導者をめざして
初めて指導に触れたのは大学1年生の時でした。
近所のラーメン屋で食事をしていると、見知らぬ男性から突然声をかけられました。
不思議な出会いから、その場で依頼されたのは京都府にある市立中学校での部活動指導でした。
そのチームは、京都府から全国大会を目指していた強いチームでした。
その中学校で長く指導をしていたコーチが体調を崩したため、代わりのコーチを探しているとのことでした。
私はそのチームで約半年間、外部コーチとして指揮を任せられることになります。
結局、全国大会には出られませんでしたが、
選手や保護者などチーム全体で喜びも苦しみも分かち合えたことが、私の指導者を目指すきっかけになりました。
「将来は、バスケットボールの指導者になって強いチームをつくりたいなぁ」と考えるようになりました。
指導者となって
5度に渡る教員採用試験を経て、教員生活をスタートさせました。2020年、教員として初めてチームを任せられることになります。当時は「とにかく強いチームをつくる」「勝つことがすべてだ」と考えていた指導者でした。「選手に優しく接したら、選手の気持ちが緩んでくる」と不安になり、選手にはとにかく厳しく接することに努めていました。
体育館では毎日のように選手を怒鳴りつけていました。
イライラして体育館に入り、さらにイライラして体育館を去る日を繰り返していました。
全く上達しない選手たち。やがて、体育館から選手の笑顔が消えました。
それでも、「成果が出ないのは選手たちの取り組む姿勢に問題がある」と、必死に自分の外に原因をつくっていました。
問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそ問題である
ヘンリー・デイビッド・ソロー(19C米国作家)
その通りですよね。そのことに気づけないまま、信じられるのは自分が経験してきた知識(暗黙知)だけでした。自分の指導の目的を言語化することもできず。目の前で起こるトラブルから、「学ぶ」という発想もなかったですね。
「指導者は、学ぶことをやめたら、教ることも辞めなければならない」
ジェ・ルメール(サッカー元フランス代表監督)
Whyからはじめよう
自分の中で「何か」を変えたかったのだと思います。
きっかけは、私自身「毎日をイライラして過ごしたくない」「楽しく毎日を過ごしたい」でした。
当時の私は「強いチームをつくって結果を出さなくては」「選手をもっと追い込んで鍛えなければ」といったことばかり考えていました。
妻から「何をそんなに生き急いでいるの?」と言われたことがあります。
恥ずかしい話です。
イライラ、モヤモヤした気持ちをもって生活する中で、ある問いを考えるようになりました。
「なぜ、指導者(教員)をやっているのか?」
自分自身と向き合う内省の時間を持ち始めたのもこの時期ですね。
きっと、この問いに対する答えを探していたのだと思います。
たくさんの書籍も読むようにもなりました。会いたい人に会いに、様々な場所を訪れました。
そして、たくさんの方々(言葉)との出会いがありました。
常識を疑う
その日は、富山県に向けて車を走らせていました。「世界一美しいスタバ」と言われるスターバックス富山環水公園店に行くためです。新潟県と富山県の県境に差し掛かったとき、車のスピカーからあるトークライブが流れてきました。
トークライブはこちらから
「課題を与えるは指導者の仕事、課題を解決するのは選手の仕事」 鈴木良和さん(ERUTLUC代表)
この言葉を聞いた私は、走っていた高速道路上で車を脇に止めました。
あまりの衝撃でびっくりしたからです。
それまでの私は「選手たちが抱えているトラブルを早く解決してあげるのが、優秀な指導者だ」と考えていました。
「選手のできないことを、できるようにしてあげる」というのは、指導者としての私の「常識」でした。
「目の前の課題を自分で解決していける子どもを育てることができたらステキだなぁ」。
目指すビジョンの入り口に立った気がしました。
社会への貢献
「スポーツ指導の学びを、学校教育へ」そんなことを考え始めた頃に出会ったのが、現横浜創英中学・高等学校におられる工藤勇一校長先生の「自律した人材育成」という教育理念でした。
https://youtu.be/dWvbfJUTikg?si=y1_5tXjT1hSC7eZJ
「手をかけられすぎた子どもたちは、自分で考えることをやめてしまう」
工藤勇一先生(横浜創英中学・高等学校校長 )
教員として子どもたちと向き合う中で、私自身も日々感じていたことでした。
また、バスケットボール指導でも同じことが言えました。
様々なトラブルが起こる「試合中のコート上」では、選手自身が自分で判断して最適な行動を選択していかなくてはなりません。子どもたちがこれから生きていく予測困難で変化の激しい社会と「トラブルが起こるコート上」が、私の中で重なりました。
自律した(自分で考えて行動できる)人材育成は、バスケットボールの競技力を向上させるだけでなく、これからの社会への大きな貢献になると思ったのです。
変わる力、変える力
今後、指導者や子どもたちに求められる力は変わっていくと思います。
企業は利益だけでなく、CSR(企業の社会的責任)として環境保全や雇用の創出などが求められるようになりました。
働く人も、上司から言われたことに忠実に従うだけでなく、自ら価値を生み出すクリエイティブな発想が求められる時代です。子どもたちも従順な姿勢だけでなく、自分で考え判断して行動していく力が求められていくことでしょう。また、指導者には勝利だけでなく子どもの成長を通して社会に貢献する価値が集まると思います。
社会で必要とされる力も変わってきている中で、当然ながら教育モデルも変わらなくてはいけません。教育の本質を考えながら、これまで常識とされてきたバスケットボール指導や学校教育をゼロベースで書き換えていく。今、私たちには求められているのは常識とされてきたものの見方・考え方を「変える力」です。
いま、ここから
バスケットボール指導現場から、主体的な人材(自分で考えて行動できる人)の育成を社会に広めていくためAND Projectを立ち上げました。スポーツ現場から、どれくらいのメッセージを社会に届けられるのかは分かりません。ですが、このチャレンジに「ワクワク」しています。
「いま」ここから。
バスケットボール指導を「リデザイン」するところから、一緒に始めていきませんか?
AND Project代表 伊藤周平